鏡雨

数は多いのにただ一人の足音にも聞こえる
規則正しい独白の大粒な雨が
街に降りる 君に降りる
まるで誰かの深いため息のように

風に乗って八つ当たりのごとく窓を叩くこともなく
本当の事だけ静かに静かに話す雨が
街を映す 君を映す
飾りを一切排除した鏡になって

人はひとつだと みんな同じだと
バカ言ってんじゃねえ みんな違うからのたうち回ってんだろ

天と地をつなぐ無色透明のポールにも見える
無数だがただひとつの声にも聞こえる雨が
街に降りる 君に降りる
希望を込めた憧れの祈りのように

耳を塞げば塞ぐほど増幅するその声と想いの
所有者を静かに静かに教える雨が
街を映す 君を映す
飾りを一切排除した鏡となって

人はひとつだと みんな同じだと
バカ言ってんじゃねえ みんな違うからのたうち回ってんだろ

人はひとつだと みんな同じだと
バカ言ってんじゃねえ みんな違うからのたうち回ってんだろ
みんな違うから殺し合ってんだろ
みんな違うから泣いてんだろ
みんな違うから分かろうとするんだろ
分かろうとするんだろ
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