海鳴り挽歌

海鳥(うみどり)追われる 波立つ頃は
港はしぐれて 冬支度(じたく)
墨絵ぼかしの 絵を見るように
北のふるさと 昏(く)れてゆく
コートのまんまで 倒れて眠る
都会のくらしの うそ寒さ
嫁にゆくのを ことわるなんて
どうしてなんだよ 妹よ
おやじは舟で まだ出てるのか
おふくろも浜に 出てるのか
つらいときほど 思い出す
あれからどれだけ 過ぎたやら
――過ぎたやら

ひと息つくたび なぜ遠去かる
あの日の夢まで 明日(あした)まで
うまい生き方 出来ない俺は
夢追い列車の 最終便
おやじは舟で まだ出てるのか
おふくろも浜に 出てるのか
老いたからだが 気にかかる
ここらでそろそろ 帰ろうか
――帰ろうか

おやじは舟で まだ出てるのか
おふくろも浜に 出てるのか
つらいときほど 思い出す
あれからどれだけ 過ぎたやら
――過ぎたやら
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