重い雨

或る晴れた日の午後 町外れの丘で
ひとり空を眺めていた時

屋根の峯を越え
木々を震わせながら
駆け昇ってくる
風の唄を聴いた

遥か昔 聞いたメロディー

世界中巡り 旅する風は唄う
森も海も死にかけていると

そして いつか この町も

瞳とじて 耳を澄ませ
風は啼いているよ、今も

幽かに見える海 光る波の彼方
暗い雲が流れはじめている

重い雨が来る
夢さえ溶かすような
未来さえも消してしまうような

けれど今なら間に合うはずさ

瞳とじて 耳を澄ませ
風は啼いているよ、今も

今と引き換えに明日を手放して
変わり果てたのは 人の心だけ
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