三日三晩のブルース

三日三晩は 家にも
帰える気にもなれずに
街をうろつくブルージン
行くあてもなく
いいじゃないか 元もと
他人同志だよ
あなたの 最後の 置き手紙には
ただ ごめんなさいと 許してと
人の気持も 知らないブルース

三日三晩は 世間を
振り向く気にもなれず
雨の歩道で 幻
足音をきいた
どんな時にも本気で
交際(つきあ)っていたよ
あなたの 忘れたハンカチーフには
まだ あじさい色の 匂いがする
恋の終りを 彷徨(さまよ)うブルース

三日三晩の 記憶が
酒で流れて おぼろ
「よしなさいよ」と誰かが
グラスをどけた
ただひとつだけききたい
一緒の間は
あなたは それでも倖せだったのか
あの もの言いたげな くちびるが
人の心を 迷わすブルース
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