オールスター

かべのむこうの笑い声に
身をすくめて出られなくなった
雨はやがてやんで
空はやがて晴れて
あなたは私を忘れるでしょう

ひとしきり楽しい時がすぎて
ひびくやさしさによいしれる
そしてそれ以上の
孤独の中で
怖くなって出られなくなった

あの日、ひざをかかえ、待った
あの日、静かに。誰かに気付かれるまで
まっていた。

誰かが書いたチョークのライン
またいだあとにふり返ってみた
なんだかそのむこうが
やけに遠く思えて
少しだけ悲しくなったりした

しまいにはもう雨に流されて
境界線なんて見えなくなる
「そんなもんだ」
誰かがつぶやいた
「それもそうだ」ってうなずいてみた

あの日、幼くて、笑った。あの日、知らなかった。
こんなに遠くなってること 知らなかった。

出られなくなったあの日、ひざをかかえ、待ったあの日、静かに。
誰かに気付かれるまで。

ラインをまたいだあの日、知らなかった。こんなに遠くなって
笑ったあの日、知らなかった―――――。

雨はやがてやんで、空はやがて晴れて
あなたは私を忘れるの?
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