嫁入り舟

むかし母さん この町に
嫁入り舟で 嫁いで来たと
あれから何年 たちますか たちますか
紫あやめの 水郷を
今日は私の 嫁入り舟が
涙隠して ギッチラと行く

もしも父さん 生きてたら
目頭押さえ 涙ぐむでしょ
娘のしあわせ 一番と 一番と
寿提灯 先頭に
彼待つ岸へと 嫁入り舟が
波に揺られて ギッチラと行く

語り尽くせぬ 思い出が
涙となって 流れる頬よ
母さんみたいに 生きたいと 生きたいと
心に誓って 人生の
あしたへ漕ぎ出す 嫁入り舟が
夢に向かって ギッチラと行く
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