夕暮れ・木枯し・裏通り

夕暮れ 木枯し 裏通り
暗い路地に火が点る
古暗ドンが揺れている

初老の易者は黙って見ている
差し出す手の平孤独な人生
死相が出てるとつぶやいて
今日も淋しく眉をしかめる
迷える男のうすら笑い
明日は野となれ山となれ

クジ売り老婆は寒さにふるえる
一攫千金夢見る人波
何処まで続く目を細め
自分も一枚そっと買ってる
知的な女のふくみ笑い
明日は花咲け花開け

異国の青年地ベタにしゃがんで
手創りブローチ幾つも並べる
言葉が出ないと苦しげに
群がる瞳をじっと見つめる
ひやかす御客のしのび笑い
明日は晴れやら曇りやら

夕暮れ 木枯し 裏通り
暗い路地に火が点る
古暗ドンが揺れている
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