女の日本海

男ひとりも 飼いならせずに
あんたのボトルで 夢注(つ)ぐ私
すがって行きたい この恋なのに
冷たい海だよ あぁ 日本海
夜の波間に ちらちらと
あれは未練か 想い火か

壁にもたれて 波音聞いて
優しい瞳(め)をして 飲む人だった
はぐれ鴎が 船追いかける
暖簾の向こうは あぁ 日本海
女ごころも 知らないで
寄せてくるのは 波ばかり

恋の重ね着 脱ぎ捨てたって
二度とは戻れぬ 逢わない過去に
海と空との 境も見えず
氷雨が窓打つ あぁ 日本海
さする両手の すき間から
逃げた女の 春ひとつ
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