氷牙忍法帖

謀 蠢く 懐に 生まれ
息差も 己の 任に ならず
遂げる 何かは 幽冥に 隠る
人を 斬るに 糸は 切れない

悔悟の 牙よ 此の身に 宿れ
未だ 腕に残る 軽みが 悍しい 故
最期に 踊れ 氷の 荊棘を
撫でる 様に 塵と 罅ぜよ

怒りに 喚く 彼の頃に 染まれ
目差は 奴の 其に 非ず
欠ける 泪は 血刀に 代えて
戯れた 嘘も ざらり 纏みて
此の手で 葬らん

悔悟の 牙よ 此の身に 宿れ
未だ 腕に残る 軽みが 悍しい 故
最期に 踊れ 氷の 荊棘を
撫でる 様に 塵と 罅ぜよ

数え切れぬ 疵よ 此の身を 喰らえ
甦る 胸の 痛みが 睡らぬうちに
最期に 踊れ 氷を 穿つ 雪の 様に
白に 眩いて 縷縷に 贖う
修羅の 途を
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