Outcider

蒼い岬に満月を見上げて、君はずっとなにを想ってるの?
白い街の結晶を見下ろして、もう過ぎ去った日々を思い出すの?

ラムネの瓶に閉じ込めたラピスラズリを見つめて、
甘く苦く過ぎてくこのシーンはどこへゆくの?

吹き去って囁いた風に意識は奪われ、
焼きついたはずだった思い出も掠めてく。
そうやっていつだって、ほら、忘れてしまうんだ。
頼りないいまより、涼しげな過去のこと。

この世界のすべての青はどこから来てどこへ行ってしまうの?
いつかそれに気づいたとき、君はどういう表情を見せるの?

変わらないよ、あの頃から。
巡る季節のパノラマ。
わたしたちに残した胸の痛みが融けたら、

連れ立って駆けてった砂浜と犬の声。
煌めいて夢だった水の街のパレード。
疲れ切って行きついた木漏れ日に眠った、
忘れるべき日のセピア色の風景。

満天の星が降って雪が頬を濡らして、
焼きついたはずだった思い出がじっと滲んだ。
そうやっていつだって忘れたいんじゃないんだ。
寂しげな過去じゃなく、いまだけを。

「もういいかい」「まあだだよ」なんて笑ってごまかして、
手を振って行ったのは、あの夏で待ってたわたし。
誰だって消え去っていくだけのイメージ。
夏の終わりを告げる汐風とともに、

さようなら。
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