サンクチュアリ

ゆらゆら枝揺らす 風なんてないのに
だんだん見えてしまう 1じゃなくミリオン

鏡の世界では ほら奥の奥まで
わたしが増えていく キリがなくて怖いの

そう近づいた 揺れる木の枝先には
枯葉じゃなくモナルカ
鱗みたいに並んだ
羽根が少し揺れた
素肌が泡立つ

ふわふわ増えてゆく ちょうちょを見つめると
飲み込まれそうになる 羽根の渦の中に
ひらひら飛び舞う 手足に睫毛に
わたしは森の奥で 蝶の神殿になる

鈴生りの羽根には 黒い丸の模様
数え切れない目に 見つめられる気がした

そうせせらぎに 手をつけた時みたいに
突然規則的な
ゼリイみたいな何かが
指にまとわりつく
感覚に似てる

ゆらゆら枝揺らす 風なんてないのに
だんだん見えてしまう 1じゃなくミリオン
5グラムの羽音 内側揺るがす
わたしは森の奥で 蝶の神殿になる
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