彼女に初めて会った日

彼女に初めて会った日

俺は台風に追われてた
北の街に うたいに行く時
この街までは どうにか来たが
目的地行きの汽車は走らない

旅行客は足を もぎとられ
ダルマみたいに転がっていた
大きな川が 氾濫したらしい
テレビは ニュース速報ばかりだ

それで この街に一人残され
俺は 一文無しの風来坊
皆な 今頃 うたってる頃だなア
俺には 今 うたう場所がない

彼女に初めて会った日

3日目の夜 男がやってきて
今夜 みんなが帰って来ると言う
男は 俺をむかえにきてくれた
行った先は 女のアパート

彼女はドアの影に立っていて
長い髪は 彼女をかくしてた
彼女は 俺を中に入れると
風船みたいなソファをくれた

彼女は ひっそりと一人暮し
北国の街が君にはおにあいさ
彼女は 19才だったけど
俺には もっと大人に見えたんだ

彼女に初めて会った日

旅のつかれも 心のつかれも
コーヒーの香りがいやしてくれた
いつか聞いた あのメロディー
小さなラジオから流れてた

街は静かに 更けわたり
犬の遠ぼえが 遠くで聞こえた
二人でかわした 小さなはなし
息の音まで 俺には聞こえた

今日初めて彼女に会ったのに
もう何年も ここにいるみたい
明日 この街出て行く俺だけど
いつか又 会えると思った

彼女に初めて会った日

台風は 今夜オホーツクに抜けて
かわりに皆なが 帰ってきた
再会を祝って カンパイをした
又 俺は 金と仕事を手に入れた

彼女に 初めて会った日

俺は 一文無しの風来坊
彼女に 初めて会った日
俺は 台風に追われてた

彼女に初めて会った日
彼女に初めて会った日
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