狐の嫁入り

吹き抜ける風が柔らか
春の生まれの君だから
君のそばは暖かいのかも知れない

始まりも終わりも無く
時間はゆっくりと流れる
そんな空気の中にいた

笑うと無くなってしまう 君の目 君の目
思い出の中を歩き、いくつか見つける
ただ胸を打つ、雨粒の音
傘を広げて歩いていくの

生憎の雨ね
雨雲が割れて
光が差し込んで
暖かなこんな日に
君はお嫁さんに行くんだね

始まりと終わりを告げる
次の春を待たず
君は隣で綺麗になっていた

笑うと無くなってしまう 君の目 君の目
濡らす涙が 僕は悲しくて

ただ拭ってあげる、その勇気すら持てない
僕はそのとき知ってしまった

時間を止めることさえ出来ない僕らは
魔法の才能など無い
この世の不思議は一つの偽りもなく
ただそこに佇んでいるのだ

生憎の雨ね
雨雲が割れて
光が差し込んで
暖かなこんな日に
君はお嫁さんに行くんだね

生憎の雨に
君は嫌われて
光り差し込んで
暖かなこんな日に
僕はあくびの一つも出来ない

暖かなこんな日に
君の横顔が光に溶けてよく見えなかったんだ
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