恋桜

夢をみながら 夢に泣く
染井吉野の 花ごころ
胸にともした この篝火(かがりび)が
生きる明日(あした)の 道しるべ
ひとつでいいのね 倖せなんて
燃えてひといろ 恋桜

花は散るため 咲くいのち
今日と明日の 境い目を
つなぐ鎖は ふたりの涙
そうよ死んでも ほどかない
前しか見えない あなたのために
杖になります 恋桜

雪に埋(う)もれて 春を待つ
待てば来るのね 倖せは
それが女の 生甲斐なのと
花のくちびる 噛みしめる
からめた小指に 二片(ふたひら)・三片(みひら)
風にこぼれる 恋桜
×