妻を恋うる唄

いつでも荒れた手をしていたね
エプロンの端まさぐりながら
首をかしげて笑うのが
朝のお前の癖だった
送ってくれる人もなく
毎朝勤めに行く僕を
お前はどこで見てるんだ
僕の声さえ届かない
空へ昇っていったきり
お前は帰って来ないのか
お前は帰って来ないのか

お前の髪の匂いがするよ
ひとつの櫛をふたりで使う
これが貧しい僕達の
いつもしてきた癖だった
曇った鏡ふきながら
涙こぼしている僕を
忘れてどこへ行ったんだ
僕の眼にさえ届かない
雲のかなたへ行ったきり
お前は帰って来ないのか
お前は帰って来ないのか

送ってくれる人もなく
毎朝勤めに行く僕を
お前はどこで見てるんだ
僕の声さえ届かない
空へ昇っていったきり
お前は帰って来ないのか
お前は帰って来ないのか
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