演歌草

花も付けない 実も付けぬ
草のこころで 生きている
朝は朝露(あさつゆ) 夜は夜露(よつゆ)
男いっぴき 演歌草(えんかぐさ)

人は一生 その肩に
義理と云う名の 荷を背負う
錆(さ)びた浮世の しがらみに
酒をまた注ぐ 演歌草

種も仕掛けも 無いという
嘘を見抜いて 何(なん)になる
ちゃちな正義じゃ 届かない
女ごころは 演歌草

愚痴と涙の 棄(す)て場所を
探しあぐねて 日が暮れた
今日と同(おんな)じ 道端で
明日(あす)も揺らゆら 演歌草
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