冬京

ぼくの部屋の
タ暮れは
君が去った
ドアの方から始まる
あの頃ぼくと
そして君の夢は
同じものだと
思っていた
ぼくの胸に
顔をうずめて
潮の香りがすると
故郷のない君だから
わかるのだろう

あの頃ぼくは
何のために
君と同じ朝を
むかえてたんだろう
赤い電車は
止まらないほどの
その小さな駅の
見える部屋で
階段のぼる
ぼくの足音
響き始めたとき
読みかけの本にしおりを
はさむ人もいない

こんな淋しさ
それも東京
そして生きていくため
暖かい愛がなければ
冬は越せはしない
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