それでも来た道

満ち足りた幸福なら この世界にはきっと無いもの
それでもいつか辿り着くと すがる何か信じていた

あの人の弾く声を聴けば あの人の歌を口ずさめば
体にまとわりつく不安は 一つ一つ消えるようで

見せかけだけの夢でもいい 偽りだらけの優しさでいい
もう頑張らなくていいのよって 言ってくれないか

振り返るなと 立ち止まるなと 歩き続けて
この道の果ては 未だに 何一つ見えやしない

風の色 街のにおい 変わり始めるのが怖かった
信号待ちの人の群れに 僕はちゃんと溶け込んでいるかな

あの人の見た夢を見れば あの人の翳す太陽を仰げば
自分もあの人になれると 一つ一つ真似していた

無責任すぎる愛でもいい 一瞬で消える温もりでいい
もう泣いたってかまわないのよって 抱いてくれないか

見えないものを見えると言える 強さがあった
なぜか涙があふれても それでも来た道

振り返るなと 立ち止まるなと 歩き続けても
この世に果てなどないと 本当はとっくに 気付いてたさ
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