日暮し

ほんの短い物語り 男と女のお話だけど
落日時のひとりごと
黙ってそこで聞いてておくれ 聞いてておくれ
綿色淡い霧につつまれ
出逢いの夜はすず虫鳴いて
はやり歌など僕が歌って
戻る坂道恋のまえぶれ
愛することの苦しさと若い心の浮草流れ
たった七日の愛の日も
ぼくがおとなでいてさえしたら いてさえしたら

時の流れはちぎれ雲
見にしみて風が通りすぎてく
運命(さだめ)のいたずら再会に
君は僕など忘れていたね 忘れていたね
雪色寂しい淋しさなんて
感じるものかといいきかせても
やっぱりひとりは肌寒く
ラジオの唄さえため息まじり
七日前には咲いてた花も
今日はひっそり窓辺で散って
もっと大事に育てていたら
ぼくの心も咲いてたものを 咲いてたものを

朝の光はつづれ織り
きのうとあしたを結ぶ糸
落ちて消えてく朝露も
心地いいのか空しさが
男と女は春の風
所詮けだるい心のあそび
あそびつかれた青春と
渡る舗道ですれ違うだけ すれ違うだけ
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