忘れられた部屋で

あなたが誰かと汽車に乗る頃 私は部屋の中
白い子猫をひざにかかえて 黙って坐っていました
ゆうべのあなたの煙草の吸いがら 灰皿にそのまま
少しでも動けば 心くずれて
泣き出してしまいそうでした

すまなそうに出かけるあなたを 背中に感じながら
気にもとめないふりをして
テレビの画面ばかり見つめてた

あなたが誰かと旅に出た日 忘れられた部屋で
やさしい奴だとあなたの口ぐせ
真似して無理に笑いました

ひとつだけお願いがあるの わかってくれるなら
あの日歩いた思い出の場所
あの人つれてなんか行かないで

あなたが誰かと旅に出た日 忘れられた部屋で
やさしい女と呼ばれることに 疲れた私ひとりきり
やさしい女と呼ばれることに 疲れた私ひとりきり
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