あのひとの雪国

あのひとは どこにいるのか
噂さえ だれも知らない
でも私 逢いたくて 逢いたくて
ひとりきた 越後の町は
おもいでが ただふりつもる
白い 白い雪国……

国境 長いトンネル
汽車がゆく 別れを告げて
あのときは かなしくて かなしくて
雪国の 駒子のように
襟巻に 頬をうずめて
泣いて 泣いてしまった……

なつかしい 雪のかまくら
団子木に 餅花かざり
更けてゆく 窓のそと 窓のそと
あのひとに よせる慕情の
ためいきが ただふりつもる
白い 白い雪国……
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