旅の宿

愛想なしほど 情は深い
そこにほだされ もう二年
はじめてですね はじめてですね
そろい浴衣で 旅の宿
あつい地酒に しみじみ酔って
小窓開ければ 春の雪

捨てた故郷に 戻ってみれば
今じゃ家さえ ないと言う
せつないですね せつないですね
もらい泣きして 旅の宿
似た者どうし 身を寄せあえば
いつか夜更けて 波の音

どんな夢見て 寝息をたてる
あなた私の 膝まくら
しあわせですね しあわせですね
ふたりぼっちの 旅の宿
いっそこのまま 時を止めてよ
雪見障子の月灯り

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