ある女の詩

雨の夜来て ひとり来て
わたしを相手に 呑(の)んだ人
わたしの肩を そっと抱き
苦労したネと 言った人
ああ あなた
遠い遠い日の わたしのあなたでした

生きる哀しさ 悦(よろこ)びを
わたしに教えて くれた人
グラスを置いて 手をとって
痩(や)せた手だネと 泣いた人
ああ あなた
遠い遠い日の わたしのあなたでした

俺の命は 君にやる
わたしに嘘を ついた人
死ぬほど好きと 言いながら
いつか遠くへ 消えた人
ああ あなた
遠い遠い日の わたしのあなたでした
×