あらたな方角へ

階段を蹴っていつもの方角へ 朝靄を駆けぬけて
道の向こうに手を振った君の 幻をみつけた

足早になって横切った公園の 時計は止まっていた
木立のなかでほほえむ僕らの 声もあの日のまま

繋いでいくフィルムのように
思い出がつまったこの街
手つかずの道を探し歩けば
そこには君の愛した花ばな

信号を待って見渡した空に 帰りそこねた月が
明日の行き先を尋ねるけど 首を横に振った

地球儀を左に回し
よみがえらせる僕の手を
見かねた人がやがて言うだろう
「ごらんよ、朝日の射すこの道を」

塗りかさねた絵画のように
望みが色あせない街
手つかずの道を探し歩けば
そこには数えきれない花ばな

階段を蹴ってあらたな方角へ 時計は動きはじめ
道を渡って歩きだす僕は 進む時間のなか
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