君が君に歌う歌(第84回 2017年 NHK全国学校音楽コンクール 高等学校の部 課題曲)

君は 傷ついてないかい?
誰かを 傷つけてないかい?
正しいことにひねくれて
わからなくなる時があるから

君は 夢見ているかい?
誰かの 夢を笑ってないかい?
周りが敵に見えてたり
うらやましいと思ったりして

雲はちぎれて また かたまって
線を描(えが)いて 消えてゆくけど

今 君の未来が小さく暗く
見えていたとしても
その 想像通りにはならないから
心配しないでほしい
これは いつかの君が
君に歌う歌

足元に舞う 桜の花びら
踏みしめ 君は 漕(こ)ぎ出してゆく

恋をして すれ違い 離れ離れになる
涙が止まらないのは 悔しいからじゃない
それは君が
相手の痛みをわかるようになったから

卒業し 仕事して 立ち止まってしまう
涙が止まらないのは 出来ないからじゃない
それは君が
自分の可能性を信じているから

偶然なんて 本当はなくて
友達も 親も
奇蹟(きせき)的に出会えたって気付く

セオリーなんて 本当になくて
初めての事が
物語を毎日紡いでく

清流と 濁流を 乗り越え
倒れたら 立ち上がり
汚れたら また 洗って

君は 大人になってゆく

夜空に浮かぶ 大きく光る星は
近くにいるから そう見えるんだ
消えそうな 小さく 暗い星を
指差してごらん
今 明るく見える星を通り過ぎて
瞬(まばた)く そこを 目指してごらん
遠くにあるから 暗く見えているけれど
本当は どうなのか 見に行こうよ
どれだけ 美しく 輝いているのか

さあ

君は 悲しんでないかい?
誰かを 悲しませてないかい?
冒険は今 荒波を
越えれば やがて凪(なぎ)になる

君は 見上げているかい?
誰かを 見下ろしてないかい?
すべての星は同じように
キラキラ輝いていたんだよ

花は踏まれて また 蓄えて
種を残して 咲いている

今 君の未来が小さく暗く
見えていたとしても
その 想像通りにはならないから
心配しないでほしい
これは いつかの君が
君に歌う歌

未来の君が
君に歌う歌
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