す き

やさしい人達の 然りげない誘いを
‘×’と大きく腕で書いた 少し笑った

‘心に穴が空く’ってこと わかった気がした
妙にぴったりで また 少し笑った

すき――――


帰り道のことは 何も覚えてなかった
ドアを開けたままで バスタブにうずくまった

甘い愛の歌ばかりが FMから聴こえる
‘ちょっと失敗’つぶやいて また 笑った

すき――――


抱いた膝に 次々にこぼれるしずく
そっか 私
ずっと 泣きたかったんだ

すき     すき     すき
・・・すき  ・・・すき  ・・・すき


すき――――
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