夢の雫

昔のことだよ 不思議な夏のある日
蝉時雨だけが 降り注いでいたんだ
岸辺に しゃがんだ 年老いた釣り人が
川の流れを 見つめながら 言ったよ

誰もが針の先に 心をからめて
過ぎ行く季節の中で 遠い場所に夢を投げる

泣きたいとき笑うのが男の子さ
強がる癖は その時に 身についた
生まれてから死ぬまでの 時間旅行
もしも良ければ この僕と 歩こうか
悪くないだろ

木漏れ日揺らして 背中から抱き寄せた
この角度からの 横顔が好きなんだ
川面にはじける 太陽が眩しいね
そばにいるほど 淡い距離を 感じる

触れ合う草の葉音が 風の言葉だね
気持ちを合わせてみたら どんな声が響くだろう

信じること 笑うこと 見つめること
精一杯の 優しさを 持ち寄って
重ねあった 想い出は 夢の雫
流れる川の きらめきに 似ていると
思わないかい
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