いにしへ

翠巒(すいらん)の奥駆道に
千数百年立ちたまふ
大杉の根の石仏
なんとやはらに笑みたまふ
ほんのすこうし いのちのことなど
教えたまへと手を合わせれば
ひと眠り ひと眠り
いのちのありかは ひと眠りの中
されども惜しき命あり
ただひたすらに生きたまへ

碧山に降る滝の間に
数千万年立ちたまふ
巌の麓の石仏
なんと微かに笑みたまふ
ほんのすこうし こころのことなど
教えたまへと手を合わせれば
ただ一途 ただ一途
こころのありかは ひたすらの中
ひたすらひたすら生きたまへ
ただの一途に生きたまへ

ああ

いにしへの道が私に繋がっている
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