きつね

嘘つきのきつねがいたよ 絵に描いた宮殿に住んでいた
何もない空間に次々 魔法のように生み出すパラダイス

千の部屋と 千のメイド 何十万冊の本
金のライオン 銀のグリフォン 水晶の竪琴 弾く人魚

展望室には天体望遠鏡 遠くで星が ぶつかり散らばる
見飽きた光景 でもよろしければ ごらんに入れよう まあいつかそのうち

世界中の知識と知恵を 学びつくした僕は
何か少々 厭世的に なってしまっているようだ

言葉を並べ 言葉をあやつり 豊かに深く 愛を語るよ
手品のように 愛が降り注ぎ 煙のように 女をケムに巻く

だけど実は 愛がわからない 学問もかじっただけ
天才詐欺師 いかさまマジシャン 心の中はからっぽの

この宇宙を お作りになった 神様はきっと
どんな屑でも 愛してくださる だけど僕は 屑ですらない

嘘つきのきつねがいたよ 絵に描いた宮殿に住んでいた
時が流れ 今ごろ彼は どこにいるか 何をしてるのか

愉快な声と 素敵な服と まやかしを友として
自分のことを愛せないまま 神様に背を向けたまま

きつね きつね 気づかないのか 神様は鏡
きみが笑えば 鏡も笑う きみが憎めば 鏡も

ラララ……
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