春一番の風が吹くってよ

『今夜つよく風が吹いて明日春が来るらしいよ。』
ひいた風邪も治らないままにここへ来てさ
そんなことを話すあなたの声は柔らかくて好き
なんだか不思議な力に包まれているってわかっているよ
西荻窪から吉祥寺までにドラマのように数えた星と
誰にも似ない喋り方することや
まぶたにかかるその前髪が噂通りの夜風に吹かれた後
とたんに胸が苦しくて冷たい頬っぺたに思わず触れたこと

いつか全て謎が解けて永い春も許せるなら
暮れる街に気づかないままに愛をかわし
迷いもなく話す二人の恋は薄い紅の色
なんだか不思議な力に包まれているってわかっているよ
クリームソーダから気が抜けるまでに
思いつくだけふざけたこと“子供の頃に好きだった匂い”とか
ラジオをつけたその瞬間に“月の光”のピアノが
流れてくる時の魔法に守られて
誰にも知られずに祈りをかけたこと
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