枝垂桜

白障子 指を束ねて
コンコンと狐の影絵
ねえお酒 弱くなったね
言葉尻 ふっと途切れて

静けさの落下傘たち
ぼくたちは抱き合っていて
どちらかが手を離したら
闇の底 墜落しそう

枝垂桜くらくら
枝垂桜くらくら
部屋に吹き込む花びらが
渦を描いて舞ってます

花びらが頬に貼りつく
とらないで このままでいい
嘘泣きで花の涙と
洒落てたらほんとに泣けた

一言を口に出したら
こなごなにすべて壊れる
ぼくたちはだから無口に
夜の音 耳すますだけ

枝垂桜くらくら
枝垂桜くらくら
酔いがまわったまぶたには
景色も円を描きます

時代には妥協できない
頑ななあなたの魂
悲しみの坂へと鞠を
抛るなど 私には無理
うなだれる首の角度で
生きている重みがわかる
疲れたら肩にもたれて
30分そっとお眠り

枝垂桜くらくら
枝垂桜くらくら
部屋に吹き込む花びらが
渦を描いて舞ってます
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