人間になってしまった

はら、はら、落ちてく
花びら、捕まえて
まだ、まだ、見えないなあ
思い出せないなあ

今日、夢を見たよ 知らぬ人の
ひどく怯えた目を、していたんだ

「どうか僕を、置いていって、構わないで」
「どうか僕を、僕のことを、覚えないで」

世界を、全てを
呪うような、声で

はら、はら、落ちてく
夏、はがれ落ちてく
でも、でも、消えないなあ
誰かの声だ

今日、夢を見たよ また、あいつの
膝を抱えて、独り、泣いていたよ

「どうせ僕は、いつか君を、殺すからさ」
「消えてしまう、僕をどうか、忘れていて」

だけどね、そんなね
幸せじゃ、ないなあ

はら、はら、落ちてく
夏はとうに、終わって
ほら、ほら、見えないかい
誰かの顔が

「お別れをしたじゃないか」
「解けない呪いもかけた」
まぁね、でもね、仕方がないさ
だって、僕ら、人間になってしまったから

はら、はら、落ちてく
花びらと、花火
ほら、ほら、もうすぐ
祭りが終わるよ

はら、はら、落ちてく
花びらと、泪
ねぇ、ねぇ、聞こえるかい
こんな声だった

はら、はら、落ちてく
花びら、捕まえて
まだ、まだ、消えないなあ
忘れらんないなあ
×