ひとり淋代

わかれの淋しさ 代ってほしい
すがる思いで ひとり来た
秋も晩(おわ)りの 淋代(さびしろ)は
その名に違(たが)わぬ 海のいろ
女のなみだで 染めたでしょうか
風が風が騒(ざわ)めく 淋代海岸

浜辺にこぼれた 小枝をだいて
鳥は渡って 来たという
命がけなど 私には
後悔ばかりが 身をせめる
私におちどが あったでしょうか
逸(はぐ)れ逸れ鳥啼く 淋代海岸

ひとりで来たのに 忘れたいのに
うしろ髪引く 影法師
人を愛した 倖せは
淋しさ消えても 消え残る
心のささえに なるのでしょうか
波が波が煌(きら)めく 淋代海岸
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