空想夜歌

呼んでいる 呼んでいる
語られることのない
美しき夜の岸辺で
呼んでいる 呼んでいる
朝日をなくした迷い子を
導く希望のあの歌が

体をひとつ小舟に乗せて
小さなその手で水を掻いていけ
衣擦れのような波の音と
お前は水面に浮かぶ一枚の羽根
滲んだ涙は夢に溶けていき
お前は明日に運ばれる

聴こえるか 聴こえるか
語られることのない
美しき夜の岸辺で
聴こえるか 聴こえるか
朝日をなくした迷い子を
導く光のあの歌が

呼んでいる
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