最後の夏の日

岬の向こうから 静かな黄昏が近づく
小さなセスナが 少し俯いて
海に影を落している

今まで愛した誰よりも
あなたを あなたを愛してたのに
いつのまにか 歳月は過ぎて
思い出だけが波になる

公営駐車場 車をいつもの場所に駐め
人影まばらな 海岸通りを
2人 どこへ向かえばいい

一緒に歩いたあの日より
あなたは あなたは 少し遅れて
並んだまま 生きることの
その難しさを教える

潮風よ 半袖では肌寒いと つぶやいた

最後のお茶を飲み どちらが先に席を立つか
悲しみの深さ 較べることなど
何の慰めになるのか?

愛した季節の長さより
あなたが あなたが 永遠だから
その背中を見送っても
2人の夏は 終わらない

今まで愛した誰よりも
あなたを あなたを 愛してたのに
いつのまにか 歳月は過ぎて
思い出だけが波になる

陽が沈んで 夕闇の中に
僕たちは 消えて行く
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