下町夢しぐれ

「いつも世間の色恋沙汰には
弱い女が泣きをみます……」

人の世界と 隅田の水は
どうせ 冷めたい ものなのさ
惚れて つくした 女の夢も
醒めりゃ 一羽の 都鳥
なにも言うまい
なにも言うまい 下町しぐれ

浮いた噂の ひとつやふたつ
いつも 女にゃ つきものさ
情け ひと雨 濡れたいけれど
しょせん 男は 浮気舟
なにも言うまい
なにも言うまい 下町しぐれ

長くこの世に 生きてるよりも
派手に 短く 咲いて散ろ
女一代 涙も 意地も
お酌する手に しみている
なにも言うまい
なにも言うまい 下町しぐれ
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