赤坂 霧雨 交差点

黄昏 濡らして おまえが見える
「独りになった」と 噂を聞いた
うつむく横顔 幸せなのか
今も 黒髪 気にかかる
赤坂 霧雨 交差点
男と女の 十字路で

ふたりが 並んで 歩いた夏が
やさしく色づく 外堀通り
も一度あの日に 戻れるならば
その手 離しは しないのに
赤坂 日暮れを 急ぐ秋
季節を横切る 十字路で

黙って 小さな 会釈を交わし
時計が止まって おまえが過(よぎ)る
変わらぬ香りが せつなく沁みる
胸に 消せない 恋ひとつ
赤坂 霧雨 交差点
出会いと別れの 十字路で
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