ハンドメイド

「きっと世界に『一人』きりなら
心なんてものは生まれなかったんじゃないかなって思うんだ。」

ねえ どう思う?って訊かれても
「空っぽなんです。」
そんな僕を君は「いとしい」と言った

傷付くたび すれ違うたびに
形を成して 僕らだけのものが出来上がる

宝物みたいに 君を触っていたいんだ
大げさだって笑われて本望さ
君の隣にいられるだけで
昨日よりも優しくなれる
またちょっと 人間らしくなれたような気がする

まるで名前をつけるみたいに
君は僕に知らなかった気持ちばかりくれるんだ

ぶつかるほど 月日が経つほど
それはよりいっそう 愛おしさを増していくばかり

壊れ物みたいに 触ろうとしないでいいよ
少しくらい乱暴だっていいんだ
君が思うより僕は強いよ
ためらわないで 求めてくれ
その手で 出来損ないの僕を

君に触れて 君に触れられて
ようやくこの胸の痛みに気づいた

悲しみも優しさも
その手で生まれた

宝物みたいに 君を触っていたいんだ
大げさだってずっと笑っていてほしい
僕ら 『二人』でいられるだけで
ありふれた日々さえ恋しくて 切なくて
いつか気づくでしょう それが心だって

振り回される時も ひどく不格好でも
「だからいいんだよ。」なんて

すべてが君の手で生まれた
×