隠岐手紙

雨音に微睡み眠り
雨音に小突かれ目を覚ます
見送られてたまるかで置き手紙
“傘、盗んでくよ。返して欲しくば、また会おう。”

てめーでてめーを島へ流し
てめーでてめーを島から流す
高波に捩れる船旅が
二日酔いと追憶をかき混ぜる

死なせないために歌った歌で
殺しちまったことがあるんだよ

まともなわけねーだろが
まともなわけねーだろが
誰かと間違ってねーか?
俺がまともなわけねーだろが

痛み 傷口を芸にすり換えて
日銭をつつくペテン稼業
とり憑かれてるならいざしらず
とり憑いてるってんだから救いがねえ

生乾きの空に翻る
海鳥達の行方を傘の先でなぞり歩く
そういや船が港に寄せる間際
女房を抱く夢をみた

俺の目が黒いうちは
どうぞ白い目で見守っていておくれ

まともなわけねーだろが
まともなわけねーだろが
誰かと間違ってねーか?
俺がまともなわけねーだろが
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