タンゴ ダダ

革張りの寝椅子(カウチ)
裸の背に貼付く
ただ一点を見つめ
死人のポーズ

紫の烟り纏う
その眼差しは
乾いた砂のように
どこまでも私を沈める

行き場のない
哀しみたちが今
重なり合い踊りだすのは
情熱のタンゴなの
燃え尽きるまで接吻を
交わしましょう

支那扇あおぐ
黄昏のバルコンで
宵闇待つ肌に
白昼夢の心を添えて

失うこと
分かっているのなら
やさしい手で殺してみてよ
この恋を ひと思い
鮮やかな熱い血が
まだ流れるうち

行き場のない
悦びたちが今
重なり合い踊ってるのは
情熱のタンゴなの
息絶えるまで抱擁を
つづけましょう

失うこと
分かってしまうから
女の手は壊していくの
また愛を 人生を
甘い声で愛しい名を
囁きながら
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