京しぐれ

嵯峨野霧雨(さがのきりさめ) 夕まぐれ
指にこぼれる 京しぐれ
濡れてはらはら 散る竹の葉に
影は泣いても 戻れはしない
この命かけました 恋の道

口とこころは うらはらに
情け重ね着 京鹿(きょうか)の子
涙絵染(えぞ)めの 西陣しめて
たとえ世間に 背(そむ)かれようと
この人によりそうと 決めた道

髪のみだれに 鐘(かね)の音(ね)が
沁みて切ない 京しぐれ
匂い袋の小さな鈴を
胸にしのばせ こらえてたえて
この恋に生きてゆく おんな道
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