そういえば

そういえば 言おうと思ってた
けどやめた 気のせいかもしれないし
そうやって口にする事に意味を感じなくなったのはいつからだろう
伝えた後の答えに期待しなくなっていた

小学生の時花壇の水やりを忘れて
それが癖になって気づいたら枯れて

なぜか悔しくて泣いて
数分後には忘れて
ドッチボールしていた昼休みの僕ら

無機質にチャイムの音が鳴る度
勝手に新しい事が起きるから
また花は咲くだろうって明日に期待した
教室で飼っていたグッピーが死んでも
まだどこかで生きているんじゃないかって思っていた

あの時気になっていたのは漢字の小テストでもなくて
明日の時間割でもなくて ただ、あの子が交換ノートに書いていた
気になる人の名前の欄だけだった

重なって忘れて 重なって忘れて
重なって忘れて 眠ったら朝

友達を傷付けた
先生と2人きり居残り 教室で怒られた
ごめんなさいって言いながら校庭を眺めて
先に帰るみんなをみて羨ましいなって思った

帰り道悲しくないのに涙が出た
家に帰るといつも厳しいお母さんは何故か笑って抱きしめてくれた
お母さんも泣いた 初めて反省した

春休み髪の毛をブリーチした
あの冷たい目の理由は今になって分かるよ
先生の心配は面倒臭かったけど
みんなより大人になれた気がした

すっかりあの子と話さなくなったのは 自分のせいじゃないと信じた
夕焼けの中 校舎越し窓 住みなれた街が寄り添う

そういえば 死のうと思ってた
けどやめた 気のせいかもしれないし
そうやって考える事に意味を感じなくなったのはいつからだろう

あれから優しくなりたいって 何度も繰り返し思うのは
戻る事許されても その表情は一度しか見たくないから

重なって忘れて 重なって忘れて
重なって忘れて 眠ったら朝

おやすみ 明日を抱きしめるように
おやすみ 明日を確かめるように
おやすみ 明日はまた、今日より正直に生きられますように
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