徒花

廊下に徒花が咲く
折れ曲りの線を指で追う

開かずの扉をするり
自由に中から出ていく

声を束ねて流す
歯を沿えろ 柔らかな喉

洗われていく 泡と消える
残されている 日に焼けていく
空が揺れる 面影だけ残っていく

水たまりが宙に浮いて
そこでも息をしようともがく

手を重ねて眠る
ただ両目を並べて零す

鳥たちは片脚で立って
いつか目覚め 羽ばたいていく
白い光 照らされていく 影は消える
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