詫び椿

真(まこと)の恋などあるのでしょうか
こぼすおまえのため息が
とけてくるよな 夜の雨
男心の身変わりに
散ってくれるな 詫び椿

別れの宿の 別れぎわ
死ぬというから 叩く頬
抱いてなだめる 手のひらに
のこる傷(いた)みを忘れない
忘れられよか 詫び椿

片瀬の恋なら あきらめられる
ふたつの岸で 思いあう
恋は深みに向かうだけ
人のさだめか 浮き沈む
川に一輪 詫び椿
×