花一匁

街角の小さな花屋に置かれている
枯れかけのベロニカが語りかけた話よ

「飽きたら捨てられるこの世の中で生き残るには
欲見せなきゃ声出さなきゃ咲きもせずに捨てられてしまうの!」

酸いも甘いも全部吸い込んで真っ赤に咲くのだ
隣のダリアに負けないくらいに色濃く咲くのだ
「あの子が欲しい」と言わせたい

枯れかけのベロニカは次の日姿を消して
冴え冴えとゆらゆらカンパニュラが置かれてる

「無口に見えるけど欺くための顔と声があるわ
自分の為の企みを花弁の裏側隠して歌えよ!」

酸いも甘いも全部吸い込んで真っ赤に咲くのだ
隣のダリアに負けないくらいに色濃く咲くのだ
「あの子はまからん」と言わせたい

このまま終わるなら枯れゆく運命なら
せめて穏やかに笑っていたいわ
不自由な世の中でもがきもがき続けてる白い花々に
幸あって欲しいわ

酸いも甘いも全部吸い込んで真っ赤に咲くのだ
隣のダリアに負けないくらいに色濃く咲くのだ

酸いも甘いも全部吸い込んで真っ赤に咲くのだ
隣のダリアに負けないくらいに色濃く咲くのだ
「あの子が欲しい」と
「あの子はまからん」と言わせたい
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