フレグランス

暑過ぎた夏のこと
ぬくもりを分けた冬のこと
その全ては儚くて
近くて遠い過去

寝惚けた目でぼんやりと
霞む面影を探すけど
季節は過ぎ
思い出に化けた

当たり前の様に揺れていた
長い髪が
過去と現在(いま)と未来に
絡まってゆく

二度と戻らぬ日々
形を変えて
涙と混ざり合い
虚しく溶けた

36.5℃が二つ寄り添って
冷めた布団を天国に変えた
そんなぬくもりが背中にくっ付いて
震える様な心臓の音が
聞こえてくる様な気がしたけれど…

二度と戻らぬ日々
形を変えて
涙と混ざり合い
虚しく溶けた

フレグランスの香り
今も残って
この期に及んでも
其処に居るようだ
早く無くなれ
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