春灯り

倖せつかむには 小さな手のひらに
あなたくちづけて 灯りをくれた人
どうか叱ってよ 臆病者めと
名も知らぬ花にさえ 巡る春の夜に

爪噛む指先に からめた赤い糸
うまくつなげない 涙が邪魔をして
どうか抱きしめて ひとりじゃないよと
肌染めておぼろ月 かすむ春の夜に

石ころ憂(う)き世道 明日は忍び坂
俺が道連れと 手をさし伸べる人
どうかさらってよ 命の果てまで
故郷の子守歌 浮かぶ春の夜に
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