夕映え

だれもいない 浜辺の砂に
こわれた舟と 夕映えがある
今さら恋を あさるのも
いくらかおっくうな 気もするし……
渡り鳥も さすらいやめて
昔のおんなの 夢でもみるさ

ろくでなしの 漁師がひとり
こわれた舟に 安酒かける
今さら飲んで ぐちるより
ひとりで風にのり 出かけなよ……
渡り鳥にきいたらわかる
あばずれの女の 待ってる町が

おちる夕陽 浜辺の砂は
この世のことを 眺めてきたよ
今さら浮いた 沈んだと
さわいで若い日が くるじゃなし……
渡り鳥の淋しい夢を
まっかに染めてる 夕映えみなよ
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