眼鏡の男の子

あ、さてさて、今日はある女の子の恋のお話。
略して『恋ばな』の一席にお付き合い頂きます。
時は令和元年の夏、どこにでもある駅の
プラットホームに佇む女子高生3人組!

「夢羽!今日こそあの眼鏡の男の子に告白するのよッ」
「無理!だって私は彼が眼鏡をしている事以外
なにも知らないのよ!」
「恋してるんでしょッ」
「してる」
「恋を我慢するなんて青春の無駄遣い!」
「無駄遣いッ」
「でも眼鏡君に彼女いるかもしれないじゃん!」
「恋してるんでしょッ」
「してる」

べべん!そこへライバル到来!やって来たのは
お嬢様風なお嬢様二人組!

「ご機嫌よう」
「島倉さん、お電車に間に合ったようですね」
「カレったら今日もお眼鏡かけてお遅刻しないで
お電車に乗れたかしら?」
「カ、カレッ!?」
「もしやこのお嬢様は眼鏡君の!」
「あ~カレのお電車まだかしら?」
「戦意喪失。お嬢様には、敵わないッ」
「いや、この戦、勝てるッ!」
「なにゆえ!?」
「本当のお嬢様は、満員電車になんか乗らないものよ!」
「あぁ!」
「あ、眼鏡電車来たッ」
「え!?」
「むむッ、ライバル多しッ」
「は!?」
「乗り遅れるな!乗り込むわよッ」
「うんッ」

今日もすし詰め 通学電車
されど辛くはないんです
いつもの車両の いつもの場所で
気になるあの子に 会えるから
名前も知らぬ 眼鏡の男の子

同じ車両の同じ時間に
いつも見かける地味な美男子
シュッと決まった学ランに
Ah 眼鏡 眼鏡の男の子

揺れる車内で教科書広げ
第1ボタンもしっかり留めてる
だけど寝グセはついたまま
Ah 眼鏡 眼鏡の男の子

優しい顔した男の子
Ah 眼鏡 眼鏡の男の子
お願いだから取ったってぇな
素顔が見たい
ガラスのベールの男の子
Ah 眼鏡 眼鏡の男の子
お願いだから取ったってぇな
素顔が見たい

ちょっと!急ブレーキ 急に停車?
満員電車だから 殺気立って みんなプッシュ
ホント窮屈...だけど幸福!
今日は目の前に眼鏡の男の子!

胸に抱かれ 息を潜め
どうかこのまま 時よ止まれ
だけど電車は動き出した
離れてく 眼鏡の男の子

優しい顔した男の子
Ah 眼鏡 眼鏡の男の子
お願いだから取ったってぇな
素顔が見たい
ガラスのベールの男の子
Ah 眼鏡 眼鏡の男の子
お願いだから取ったってぇな
素顔が見たい

あれからどれくらい 経つのでしょう
毎朝 見ていた キミはいずこ?
どこかへ引っ越し したのかな?
気づけば キョロキョロ 探しちゃうよ

その日遅刻でギリギリ乗った
いつもと違う車両で発見
シュッと決まった学ランに
あれ?まさか 眼鏡を外してる
イメージ変わったキミの隣で
可愛く微笑むその子は誰よ
まさか手と手も繋いでる!?

優しい顔した男の子
でも 眼鏡 今ではコンタクト
カノジョが出来ちゃって取っちゃったんだ
幸せそうね
ガラスのベールの男の子
でも 眼鏡 今ではコンタクト
眼鏡を取ったらそんなもんか
大したことないじゃん!
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