流浪

親がいながら 孤児(みなしご)に
されて十年 東へ西へ
どこを塒(ねぐら)に かえようと
所詮無情の あゝ 風ばかり

あかの他人に もらわれて
たった七日も がまんができず
やがて家出(やさぐ)れ 泣きながら
ひとり辿った あゝ 細い道

憶い出すたび とおざかる
あの日はぐれた おふくろの顔
逢えぬ人なら それもよし
どうせ名のれる あゝ 俺じゃない

生きてきたかと 問われたら
俺は笑って うなずくだろう
流れ流れの 人生も
夜が明ければ あゝ 明日がある
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